いいですよね。最近はあんまり時間もなくって、意味のない移動も少なくなっていますが、隙あらば散歩したいと思っています。人によって散歩へのこだわりはそれぞれかと思いますが、わたしの場合は目的地を決めず、ルールを決めるスタイルがお気に入りです。いわば儀式としての散歩です。
この散歩を行うにあたっての前提条件というものがあります。まずは、晴れた日であること。雨の日や悪天候の日はやめておきましょう。これは個人差があると思いますが、雨や悪天候というのは、自分自身の理性や規範に寄った部分を強く刺激してしまいます。このことは、散歩をする、道を選ぶことをつまらなくしてしまうおそれがありますから、晴れた日にしておきましょう。悪天候のほうがダークな感じではありますが、逆に冷静になってしまうんです。カッコつけすぎじゃない?みたいな。
次に、なるべく何も持たないようにします。スマートフォンはもちろん、身分証や金銭も置いていくのがベストです。しかし、昨今の治安の悪さを考えると身分証は持っておくのがいいかも知れません。不審者と疑われたときにかなり面倒なことになってしまうと思いますからね。とにかく、人の気配がするようなものをなるべく排除しましょう。水分は流石に持っていったほうがいいです。
最後に、日が暮れる前の午後に出発しましょう。深夜に散歩をする勢力もあるとは思いますが、わたしのお勧めは午後の昼下がりです。散歩が過熱していくときにちょうど日が暮れるくらいが一番いい。この空の移ろいがめちゃくちゃ気持ち悪くていいんですよ。ここがこの散歩のキモです。
さて、以上の準備を済ませたらいざ出発です。出発してからはもう一つのルールだけ守って進む道を決めればOK、それは 知らない道、不安な道、人気(ひとけ)のない道を選ぶ ということ。
これはシティーボーイ&ガールの方には難しいかも知れませんが、何が何でも人の気配から離れて、知らない道に進んでください。モチベーションとしては道に迷いたい、帰れなくなりたいみたいなこと。スリルを求めて歩きましょう。
お勧めは川沿いです。こう、うっそうとした、草がめちゃくちゃ生えているみたいな川の近くを歩きましょう。より気味の悪い方にドシドシ歩いていきます。なんとなく道が想像できるような方向に進むのはダメです。とにかく、迷ったらヤバいかもしれない方へ進んでください。未知の道ってワケ。
日暮れの時間帯になってきたら勝負どころです。ここが一番面白い。来た道を避けて家に帰りましょう。ここでもわかりやすい道にはなるべく出ないようにしてください。もちろん帰り道なのでどこかのタイミングで大きな通りとか、見慣れた道に出るとは思いますが、そこに出た瞬間にこの散歩は終わりなので、長く楽しみましょう。
このねぇ、ちょっと不安な帰り道、これがいいんですよ。小学校の頃、少し遠くの公園で遊んだ帰り道を思い出すんですよね。視野のスケールも小さくて、世界に対する解像度も低かった頃の不安と冒険心。これが刺激されて心地よい。
知らない道を進み、心を魔に近づけ、夕方の怖さを再確認しましょう。近所が田舎めじゃないと、成立しないかもしれないけど…。